山口駐屯地創設63周年記念日行事

山口駐屯地創設63周年記念日行事

場 所:山口駐屯地
日 程:2018年 11月17日(予行)
取 材:乙夜

第17普通科連隊等が駐屯する陸上自衛隊山口駐屯地にて、山口駐屯地63周年記念日行事の予行が行われた。
予行では隊員の家族や関係者、入隊希望者が招かれ、本番同様の内容に、隊員たちが全力で取り組んでいた。

訓練展示は、偵察、UH-1からのリペリング、FH-70、74式戦車の射撃、普通科部隊の攻撃など、限られた時間の中で、
様々な展示が行われた。この日特に注目を浴びたのが、リぺリング。降下する4人は全員女性隊員で構成された。3か月間、懸命に練習を重ねたであろう姿に感動する。

山口駐屯地は、明治30年に歩兵42聯隊が移駐してきて以来受け継いできている伝統があり、旧軍の施設も残っている歴史的な
駐屯地である。記念行事の際は併せて見ておきたい。


■ 観閲行進

駐屯地所在部隊及び支援部隊による観閲行進、航空機の祝賀飛行が行われた。観閲台と観閲部隊の進路が近く、間近で迫力の行進を見ることができる。

 

山口駐屯地音楽隊。駐屯地所属の音楽隊は、全国でも珍しい。

 

観閲行進が終了。その後は訓練展示があるので、準備の間に音楽隊による演奏や、太鼓の演奏などが披露される。

■ 訓練展示準備

模擬戦闘の訓練展示の準備を行う狙撃手たち。訓練展示では、敵の指揮官を発見・狙撃した。装備には偽装と脱落防止が施される。観測手の眼鏡に付けられている三脚は、Velbonのカメラ用三脚である。

 

偵察オートを準備中の隊員。写真撮影に笑顔で応えてくれた。訓練展示では、鮮やかなドライビングテクニックを披露する。

 

ドーランで入念に偽装する。今年度入隊したばかりの陸士たちとのことで、思わず応援したくなる。

 

73式小型トラック(ジープ)J23A型。車のミラーもまた、ドーランを塗るのに一役買っている。

 

対戦車ミサイルの、87式対戦車誘導弾(中MAT,87ATM)を構えてもらった。重量は12kg。

 

弾倉の脱落防止が施され、古いながらもピカピカに磨かれた89式小銃。

 

第13戦車中隊の74式戦車。第13戦車中隊は、岡山県勝田郡奈義町の日本原駐屯地に駐屯する、陸上自衛隊第13旅団隷下の機甲科部隊である。

 

155mm榴弾砲 FH70には、自走移動時のための簡素な座席が用意されている。89式小銃を大切に抱える隊員、訓練展示の準備は万端である。

 

準備の間、山口維新太鼓の演奏が観客たちを楽しませた。鍛えられた隊員たちによる勇ましい演奏が、空まで響き渡った。

■ 訓練展示

 

第13飛行隊の偵察ヘリコプターOH-6が、上空から敵情を確認し、報告する。上空からの偵察により、約一個分隊の敵が、西側の正門の台に陣地占領中であることが判明した。

 

情報小隊の偵察オートバイと第13偵察隊の87式偵察警戒車により、細部の敵情を解明。(鉄条網と対戦車地雷を確認。)敵からの発砲に対し、バイクを速やかに倒し盾にして、射撃で応戦する。

 

敵の位置を確認した第17普通科連隊は、ヘリを利用し偵察部隊を敵陣地後方に潜伏させ細部敵情を解明させます。(グラウンドの都合により、観客から見やすい場所で実施)第13飛行隊の多用途ヘリコプターUH-1から降下するのは、全員、山口駐屯地の女性隊員。中には、ついこの前まで高校生で、入隊したばかりの隊員も。

 

 

降下したのは、通信小隊の隊員3名と、衛生隊員1名。鮮やかな降下に、観客から拍手が湧き起こった。

 

 

第13高射特科中隊の93式近距離地対空誘導弾。自走式に優れ、敵の航空機などを撃破する。
第17普通科連隊が保有する120mm重迫撃砲は、射撃によりこの場所から新山口駅まで飛ばすことが出来る。
普通科中隊が保有する81mm迫撃砲は、射撃によりこの場所から維新公園まで飛ばすことが出来る。
普通科中隊が保有する87式対戦車誘導弾。レーザー誘導により敵戦車などに対し、非常に高い命中率で射撃することが出来る。
普通科中隊が保有する01式軽対戦車誘導弾熱を発する目標をロックオンし、敵戦車などに対し、非常に高い命中率で射撃することが出来る。

火力戦闘部隊の準備が完了。攻撃部隊の展開のため、敵陣地に対して攻撃準備射撃を開始。攻撃部隊は攻撃準備射撃間に、普通科を含め、戦車、軽装甲機動車等の突入部隊を敵前に戦闘展開させ、攻撃の態勢を完了させる。

 

戦闘展開を開始。普通科が行う陣地攻撃に於いては、機甲科・野戦特科・施設科等から、機動力、火力障害処理能力など、必要な能力を増強する。

軽装甲機動車(LAV)2両の前進を、奥の3両が射撃して支援。射撃の援護下で、小銃等の直接火力による相互支援で敵陣地へ逐次緊迫する。LAVから下車する際も、味方に銃口を向けないようマズルコントロールに気をつけていた。

 

味方のエマージェンシーをカバーする隊員。

 

狙撃手が偽装をして、狙撃の機会を狙う。敵の指揮官を発見し、狙撃する。

 

敵部隊の攻撃により左大腿部を負傷した隊員。隊員は現地でできる処置を自ら、または同僚が実施し、人的被害を最小限に抑える。

 

第一線部隊の隊員は、負傷者を敵の直接射撃から防護できる安全な位置まで運び、救急車で後送させた。この際も常に敵方へ火力と目を向ける。先ほど降下した女性隊員が再び登場する。懸命に後送する姿に感動した。

 

施設作業小隊の隊員が、破壊筒によって敵陣地の障害を爆破し攻撃部隊の通路を開設する。
火力支援部隊による障害処理支援射撃及び小銃小隊による直接射撃による援護を受けて、障害に緊迫する。

攻撃部隊は特科、戦車の突撃支援射撃という火力支援のもと匍匐により障害地点に緊迫し突入の態勢を整える。

中隊保有の全火力による火力発揮により敵を制圧し、火力支援部隊の最終弾弾着と同時に攻撃部隊が突入する。

 

 

突撃において、対小銃、無手によって近接戦闘が生起する。徒手格闘の展示も、客席に見やすいよう目の前で展示を行う。アクロバティックな技も繰り広げられ、歓声と拍手が沸き起こった。

部隊が突入し、敵を撃破、正門の台を奪取。訓練展示を終了した。

【訓練展示はYoutubeでもご覧いただけます。】

■展示後インタビュー

 

リペリングを披露した女性隊員のうち2名。「初めは怖かったけれど、滅多にできない経験をさせて頂いたことに感謝している」と話す。

 

山口駐屯地のすぐ横に、山口地本の建物がある。そこでは山口駐屯地のTwitterで人気者の牛山さんが出迎えてくれた。牛山さんのプロフィールは以下の通り。

名前:「17式牛型広報官 牛山(うしやま)さん」
由来:「牛」と山口地方協力本部の「山」を組み合わせたもの。
階級:2曹(もっとがんばれば昇任できるかも)
資格:レンジャー資格を保有
性格:おっとりしているがすごい力持ち。LAV(軽装甲機動車)を軽々持ちあげる。一緒に写真を撮ってもらえると鼻息荒く喜ぶ。

 

自衛隊公式のゆるキャラの中でも、なんともユルいキャラクターである。
山口地本やイベントで会うことができる。
 

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