乙夜の”気になる”装備 その21 各社訓練用品

乙夜の”気になる”装備 その21 各社訓練用品

(当記事は、SATマガジン2019年5月号に掲載されています)

わたくし乙夜が気になった装備をご紹介する当コーナー。今回は、トレーニング等で使用できるツールたちをご紹介します。CQBやガンコントロール、格闘などのトレーニングで、実物の銃やナイフの代わりに使用される、トレーニングツール。公務員の方やタクティカルトレーニングがお好きな方にはおなじみのアイテムだと思います。

訓練などでトレーニングツールを使用するメリットは、実際の現場で使用する大事な実物を、訓練で傷めてしまうことがなくなります。また、実際に撃つ必要がない訓練であれば、実物よりも安全にシュミレートできますし、管理も楽になるでしょう。どれも実物に近いシルエットや重さが再現されており、実際の現場で武器を使用する/される場面をイメージしやすくなります。
世界中、様々なメーカーのものが存在していますが、私物のトレーニングツールをかき集めて、比較してみました。
 

 

トレーニング用のツールは、多くがゴムやプラスティック等の柔らかい素材で作られているため、例えば奪い合う等の激しい動作をしても、使用者や、周辺の人や物を傷つける可能性が低いです。
 

 

実銃やエアソフトガンとは違い、弾を発射しないので暴発はありえませんし、多少乱暴に扱ったところで壊れる心配がありません。
 

 

雨や海水に濡れるような訓練に使用しても、壊れたり、錆びたりすることはありません。使用後の武器手入れが楽になりますね!
 

 

Team Wendy ESAPI NON-BALLISTIC TRAINING PLATE
ヘルメットで有名なチームウェンディの、トレーニング用プレート。落としたり衝撃を与えると壊れてしまう防弾プレートを、訓練中に傷めてしまわないよう、代わりに使用するものです。
 

 

E-SAPIの重量や形状を忠実に再現しています。防刃・防弾性能はありません。
 

 

曲線、厚みも同様に再現されています。
 

 

プレートキャリアの中にこれが有ると無いでは大違い。重さによる体力の消耗や、動き方を、訓練中に知ることができます。(参考:Tasmanian Tiger プレートキャリアMk2)
 

 

こちらはトレーニングナイフ。
(左上から順に)
COLD STEEL Rubber Training Peace Keeper I
COLD STEEL Rubber Training Military Classic
FAB DEFENCE RUBBER TRAINING KNIFE
Spartan Blades, LLC CQB TOOL – TRAINER
COLD STEELは、アメリカのナイフ・刀剣メーカーで、様々なバリエーションのトレーニングナイフも製作しています。銃剣や、短刀、太刀、斧やククリ、果てはグラディウスまで…。どれもシンプルで頑丈です。
 

 

FAB DEFENCEのトレーニングナイフは、イスラエルの格闘技「KAPAP」の文字が刻印されています。KAPAPのトレーニングでの使用を想定していると思われます。より安全に訓練できるよう、先端が丸く加工されています。
 

 

Spartan Bladesが米軍特殊作戦部隊のために開発したナイフ「SOCP」は、スリムで簡単に収納でき、CQBで格闘になった際も迅速に扱えるよう設計されています。そのモデルのトレーニング用ツールがこちら。
 

 

リングを人差し指に通し他の指を添える、カランビットのようなスタイルの持ち方です。このように逆手で持ち相手の手首などに引っかけて落とすなど、豊富な使い方があります。
 

 

ASP Tri-Fold Training Restraints
訓練用の拘束バンドです。モールに通したり装備等に吊るせるので、取り出すのに便利。ケースも別売りで販売されています。訓練の度に実物を使い捨てにしては勿体ないので、何度も使えるのが嬉しいですね。
 

 

両方に手を通し、真ん中の部分をスライドさせると締まります。訓練用といっても実物と同じように丈夫で、着けられた人の力だけで外すことは難しいです。ASPもまた、トレーニングガンなどを製作しています。
 

 

株式会社キャロット 自衛隊89式小銃擬製銃
キャロット製の89式TRG(Training Rubber Gun)内部に鉄芯を入れたポリウレタン樹脂製で、実物の重量と(3.5kg)とほぼ同じ。手にした感覚は非常にリアルです。怪我をさせにくくするため、強い力が加わると曲がるようにもなっています。
 

 

見出しができるので、実銃を使う際のイメージに近い状態で、訓練することができます。
 

 

キャロットのTRGは様々なバリエーションがあります。自衛隊・警察が採用している装備を中心に展開。重さやカラーバリエーションも豊富に用意されています。(撮影:Masaki Otsuka)
 

 

中には、怪我をしにくいようにここまで曲がるものも。
軽量で、落としても床を傷つけにくく、足も傷めません。
 

 

BLACKHAWK! Demonstrator Gun SIG P226
比較的軽量です。マガジンキャッチやスライドストップ、グリップスクリューまで、細部まで精巧に作られていますが、トリガーと本体の間は、トリガーが折れないよう埋められて強化されています。アンダーレイルには、ピカティニーレイル対応の装備が装着できます。グリップ下部の穴には、ランヤードが取り付けられます。
 

 

サイトは覗けません。(赤い塗料は後付けです)ハンマーは寝ている状態で再現されています。引っ掛かる溝が少なく、怪我をしにくいとも言えます。
 

 

RING’ BLUEGUNS SIG P226
トレーニングガンといえばブルーガン、というほど世界的に知名度があります。ハンドガンやライフルはもちろん、テイザーガンや、無線機、ライト、手榴弾、トンファ、カッター等々。書ききれないほどの種類が作られています。それぞれ、実物に近いサイズと重さも再現されています。ブルーガンは、トリガーと本体の間が肉抜きされており、刻印も入っていて、より実銃に近いデザインです。
 

 

サイトは覗けるようになっていて、ハンマーは寝た状態が再現されています。
 

 

メーカー不明 GLOCK17
台湾の「TANGO」というショップから購入したトレーニングガン。この中で最も安く、価格はなんと300元!(約1,000円)表面に弾力を感じるほど柔らかく、力を加えるとぐにゃりと曲がります。中に芯が入っているようです。
 

 

簡素な作りですが、価格を考えれば満足のできるクオリティです。
 

 

メーカー不明 GLOCK17
8年ほど前、上野のマルゴーというミリタリーショップで購入しました(現在は閉店)この中で一番目立つ、まばゆいほどのオレンジ色です。自然界に存在しない色なので、野外でも紛失しにくいのがありがたい点です。「MADE IN U.S.A」と刻印されています。素材はかなり固く、軽いです。
 

 

ざっくりとした作りですが、サイトは覗けるようになっています。
 

 

トレーニングガンを購入する際に注目したいのが、普段使っている装備と併用できるかどうか。ハンドガンがホルスターに入るか、ライフルにスリングや光学機器を使う場合も、装着できるかどうかを確認しましょう。
 

 

こちらのGLOCK17のみ、かなりのオーバーサイズでしたが、その他はホルスターに収めることができました。
 

 

BLACKHAWK!のトレーニングガンは、一番軽量でした。
 

 

まとめ

・重さ
実際に使用する銃に近い重さで練習すれば、実際の動きをイメージしやすく、質の高い訓練ができると思います。より軽く柔らかい素材のものを使えば、怪我をしにくく床など周辺を傷つける可能性が低いので、安心して訓練ができます。

・色
実物に近い色であれば、現場をイメージしやすく、緊張感のある訓練になるでしょう。派手な色をしていれば、紛失を防ぎやすく、傍目にも作り物だとアピールすることができます。訓練内容によって選ぶのが良いでしょう。

・トレーニングツールを使用する利点
冒頭でもお伝えした通り、やはり安全に訓練できるという点が大きいですが、もう一つ。実際の任務に使用する大切な装備を、訓練で壊して稼働率を下げてしまったり、現場で壊れてしまうリスクを減らしたり、使用後の手入れで取られる時間を減らして、より訓練に集中する時間を増やすことができます。
 

 

・”気になる”トレーニングガンは?

Beretta社製 Training Aidシリーズは、マガジンキャッチがライブで、マガジンも実物同様に抜き差しできます。操作方法を練習できますし、よりリアルな訓練が期待できます。
今、私の「気になる装備」です! 

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